The Book of Psion
| 編著者 | エ・ビスコム・テック・ラボ |
|---|---|
| 出版社 | (株)毎日コミュニケーションズ |
| 出版日 | 2000年10月2日 |
| 判型 | A5 (148 x 210) / 496ページ |
| 価格 | 2,800円 |
| ISBN | 4-8399-0441-3 |
はじめに - Foreword -
Pison=コンピュータ宣言
さて、ひとつ深呼吸でもして、ゆっくりと椅子に腰かけ、熱いアールグレイ・ティーでも味わってみてはどうだろう。お気に入りの深煎りアラビカ種の挽きたての豆をイタリア製手動式エスプレッソ・メーカーPavoniで抽出したあなた好みのエスプレッソでも、もちろん、かまわない。
理解しているつもりなのだ。「すぐにでもPsionを使いこなしたい」というあなたの気持ちを。それは、わからないではない。しかし、あわてなくても良いのではないだろうか。人生は長い。あなたは世界でも稀にみる多様な生態系にあふれる自然と美しい四季を感じることができる日本という国に住み、英国製のコンピュータであるPsionを使い、または使おうとしている。そういう人のはずだ。あわてずに。
筆者としては、これまでのコンピュータやPDAを使ってきたあなたの脳を一度リセットし清々しい状態で、本書を手にとっていただきたいと願っている。おそらく、これまでの日本におけるコンピュータやそのサブセット、そしてPDAといった定義を覆す、新種のスモール・コンピュータの存在を実感できるに違いないからなのだ。
そう、PsionはいわゆるところのPDAではない。PDAにもなるスモールコンピュータである。このポイントが非常に大きな魅力なのだ。このことを頭の片隅に置いていただければ幸いである。
さてここで断っておきたいことがある。
本書では、いくつかの固有名詞が頻出する。主だったところでは、Psion、EPOC32、Epoc Release 5(ER5)、Psion Sereies 5(S5)、Psion Sereies 5 mx(S5mx)、Revo、Psion Sereies 7(S7)、netBookといったあたりだが、これらについては、次項の「本書について」を一読されたい。
また、おそらく日本においてはその斬新なスタイルからRevoに大きな興味を抱いている読者は少くないだろう。確かに魅力的なマシンである。
しかしながら、本書の構成を見ていただければお分りになるかと思うが、RevoはnetBookとともにひとつの章を与えられているにすぎない。かといって、本書にRevoの情報が少いということではない。いや、本書の内容のほとんどすべてがRevoにもあてはまる内容であることを全体を通読していただければ、おわかりになるだろう。
おそらく今後Revoに特化した書籍も次々と出版されてくるかもしれないが、あえて、なぜ本書がRevoをメインにせず、S5mxを基本に据えているのか。それはページを捲っていくうちに理解されることだろう。
あなたはRevo、S5mx、netBookの中からあなたの目的と趣味にぴったりあったマシンを選択できるに違いない。
基本にあるのは、コンピューティングする喜び、である。喜びのないコンピューティングなど存在しない。そう断言してしまおう。そして、Pisonがあれば、私たちはいつでもどこでも、コンピューティングの甘美な世界を享受できる。しかも、PDAとしても使える。
コンピューティングする楽しみとは会話である。わたしたちは、わたしたち自身とコンピューティングを介して会話している。そして、これはとてつもなく楽しい時間である。そして、そこから多くの発想や新しい関係が生まれていく。他者とのコミュニケーションも広がっていく。
あなたの明日からのコンピューティングライフのために。
本書の使い方 - How to Use -
○本書は英国のPsion inc.(Psion社)およびその関連企業が生産および販売を行っているスモール・コンピュータとそのOS、アプリケーション、周辺機器、およびサードパーティから登場しているプロダクツについて様々な側面から解説を試みるのことを主要な目的として執筆、編集、デザインがなされている。
○“スモール・コンピュータ”という定義は、筆者の周辺のPsion所有者の間で使用されている概念であり、いまだ一般性はないかもしれない。しかし、本書とPsionによってより多くの人が、その意味を自らのものとして実感できるのではないかと考えている。
○一般に流布するコンピュータ解説書ならば、第一章から具体的な記述に入るのが通例であろうが、本書ではそのような構成をとってはいない。そのため日本におけるこの手の解説書とは趣を異にしていると言えるだろう。これを良しとするか否かは読者の意見を待たなければならないが、筆者および関係者の中ではPsionというスモール・コンピュータの魅力とそれを日本という場において解説、表現するには、このような構成が最も適しているのではないかという結論から導き出されたものである。
○本書を読み進めるうえで基本的な語句、および固有名詞とその意味を的確に把握しておくことは大切である。そうすることによって、なぜ本書がRevo中心ではないかということを読者が判断する、ひとつの材料になるのではないだろうか。以下、本書を読むうえで重要な固有名詞についての簡単な解説を試みたい。
【Psion】(さいおん)
英国のPsion社の名称であり、またPsion社が開発販売しているスモールコンピュータ群の総称でもある。過去には日本でも一部のファンに絶賛されたPsion Series 3(Psion3)、Psion Sienaと言ったマシンも存在するが、本書において断りなく”Psion”という言葉を使用する場合は現時点で一般的に購入可能なPsion5mx、Psion Revo、Psion series7の総称としての意味であると考えていただければ幸いである。
【Psion Sereies 5】(さいおん しりーず 5)
Psion Series 3の後を受け1997年に登場した、スモールコンピュータ。すでに生産終了になっているが、基本的なところはその後発売されたマシンとあまり変わらない。本書では「S5」と表記する場合もある。すでに売られていない古いマシンであると考えても間違いではない。が、現役で十分に使えるということも忘れないでいただきたい。
【EPOC32】(えぽっく32)
Psion Series 3 までのOSは、EPOC16であったが、Psion Series 5からは、このEPOC32が採用された。EPOC32には、ER3(EPOC Release 3)、ER4(EPOC Release 4)、ER5(EPOC Release 5)というRelease Versionがある。ER3はS5および、GeoFOX。ER4はOsarisに使用され、ER5はS5mx以降の機種に採用されている。
【Epoc Release 5】(ER5)
S5mxから採用されたEPOC32。本書では基本的に、このER5を採用しているマシンを扱っていく。
【Psion Sereies 5 mx】(S5mx)
1999年5月に発売されたER5マシン。現状Psionというスモールコンピュータのスタンダード的な存在である。
【Revo】
1999年10月に発売されたER5マシン。S5mxからいくつかの内容を削り、いくつかの新しい機能が付加されたマシン。フォルムと携帯性から、人気が出てきている。
【Psion Sereies 7】(S7)
1999年12月に発売されたカラー対応、ER5マシン。S5mxよりも大きく256色カラーに対応した。VGA画面を持つ。日本では、現状市場におけるメインマシンとなりえていないが、欧米では徐々に人気が出てきている。
【netBook】
S7と形状は同じだが、RAM容量とCPUの速度が速くなったER5マシン。実は、ROMを持たずにRAMだけのマシンである。この点が大きく異なる。
ここでは簡単に説明を試みたが、本書を読み進めるうちに、詳しいことがおわかりになると思う。
○本書におけるキャプチャー画面は、基本的にUniFEP V2を導入していないUK版もしくはUS版ER5マシンのものである。UniFEP V2によって日本語ローカライズがなされた画面はUniFEP V2使用時のみ採用していることを注意されたい。そのため、UniFEP V2がプリインストールされたマシンを購入された場合、画面キャプチャーや固有名詞に違いが生じる場合があることを了承願いたい。これは、UniFEP V2を導入していない人々への便宜を図るとともに、ローカライズ環境であるUniFEP V2の記述をひとつにまとめておきたいと考えた結果である。

